『仮面ライダー鎧武』のレデュエはいくつの言語を使って放送したのか
『仮面ライダー鎧武』第34話でオーバーロードのレデュエは地球人類全体に向けてテレビを通じて宣戦布告を行なった。
ところで、レデュエはいくつの言語を使って放送したのだろうか。
レデュエはこの放送のなかで「もっと早くにあいさつしようと思ってたけど、地球にある全ての言語を理解するのに手間取ってね」と言った。だとすれば、レデュエは地球で現在使われているすべての言語を使ったのか。現在人類が使っている言語の数はおよそ6000~8000だ。いくらなんでもこれは多すぎるだろう。
レデュエはテレビを通じてメッセージを伝えた。だとすれば、現在世界のテレビ放送で通常使われている言語をすべて使ったということかもしれない。それでは、それはいくつあるのか。イカす!ブロードバンド天国によると以下の103で、これは現在世界で使われている公用語の数とほぼ同じだ。
アイスランド語、アゼルバイジャン語、アッサム語、アファール語、アブハズ語、アムハラ語、アラビア語、アルバニア語、アルメニア語、イタリア語、インドネシア語、ウクライナ語、ウズベク語、ウルドゥー語、英語、エストニア語、オランダ語、オリヤー語、オロモ語、カザフ語、カタルーニャ語、カラーリット語 (グリーンランド語) 、広東語、カンナダ語、ギリシア語、グジャラート語、クメール語、グルジア語、クルド語、クレオール語、クロアチア語、サライキ語、ジャワ語、シンド語、シンハラ語、スウェーデン語、スペイン語、スロバキア語、スロベニア語、スワヒリ語、スンダ語、セルビア語、ソマリ語、ゾンカ語、タイ語、タミル語、ダリー語、チェコ語、チェワ語、中国語、朝鮮語(韓国語)、ティグレ語、テルグ語、デンマーク語、ドイツ語、トルコ語、トンガ語、ニウエ語、日本語、ネパール語、ノルウェー語、パシュトゥー語、パピアメント語、バリ語、ハンガリー語、パンジャーブ語、ビルマ語、ヒンディー語、フィジー語、フィリピン語(タガログ語)、フィンランド語、フェロー語、フランス語、ブルガリア語、ベトナム語、ヘブライ語、ベラルーシ語、ペルシア語、ベルベル語、ベンガル語、ボージュプリー語、ポーランド語、ボスニア語、ポルトガル語、マオリ語、マケドニア語、マラーティー語、マラヤーラム語、マルタ語、マレー語、モルドバ語、モンゴル語、モンテネグロ語、ラオ語、ラトビア語、リトアニア語、リンガラ語、ルガンダ語 (ガンダ語) 、ルクセンブルク語、ルーマニア語、ルワンダ語、レユニオン・クレオール語、ロシア語
103言語といえば8000に比べればずっと数が少ないが、レデュエはこれほど多くの言語を習得したのだろうか。ウィキペディア英語版によれば、これまで人間で最も多くの言語を話せた人はおよそ60の言語を話すことができた。オーバーロードのレデュエは人間よりもはるかに知能が高いので、100くらいの言語を話すことができるようになっても不思議ではない。
ただ問題は放送までにこれほど多くの言語を習得する時間があったのかということだ。劇中でどのくらいの時間が経過したのか明確でないので、仮に『仮面ライダー鎧武』という番組が放送されている現実の世界で1週間たったら劇中でも同じように1週間たったとみなして以下議論を進める。
戒斗がヘルヘイムの森の中に国語辞典を置いたのが3月23日放送の第23話だ。この辞書はすぐにデェムシュに見つけられたのだから、レデュエも同じ日に辞書を手に入れたと考えてもいいだろう。そして、4月6日に放送された第24話でレデュエはもう日本語が話せるようになっていた。レデュエは2週間くらいでそうなったということになる。
レデュエは沢芽市に入る前は日本語以外の言語に接する機会はなかったと考えられるので、6月1日放送の第32話でユグドラシルタワー占拠後に学習を始めたのだろう。そうすると、これから6月22日放送の第34話まで3週間、これだけの時間でおよそ100の言語を学んだことになる。
レデュエは辞書だけで学ぶしかなかった日本語を簡単すぎると言っていた。沢芽市に来てからはテレビやネットでほかの言語を学習することができたので、言語の習得に要する時間は飛躍的に短くなったと思われる。したがって、3週間という短い期間でレデュエが100くらいの言語を話せるようになるのは当然のことかもしれない。
と、ここまではレデュエにとって可能だったかという観点から論じてきた。しかし、可能であることと実際にやることが同じであるとは限らない。レデュエの放送は同じ内容を多数の言語で同時に流すという形のものだったと思われるので、日本語以外の言語については生放送ではなく、事前に収録したものを放送したと推測される。そうすると、日本語以外に100の言語を使う場合、100回も収録作業をすることになる。レデュエは「統一言語を使いなよ。せっかくの情報処理能力も宝の持ち腐れだ」と言った。レデュエは短気ではないとはいえ、この台詞からはあまりにも多くの言語を使うのは面倒だという気持ちが読み取れる。レデュエは「全ての言語を理解」したとは言ったが、すべての言語を話せるようになったとは言っていない。レデュエはかなり地球の事情に通じているようだから、事前収録に使った言語の数はもっと少ないと思われる。
レデュエが宣戦布告をした本当の意図は、人類を挑発して沢芽市を攻撃させ、この攻撃をロシュオのスーパーパワーで無効にして、オーバーロードの圧倒的な力を見せつけることにあったようだ。このような意図があったのであれば、「全世界の人間たちに告ぐ」とは言っていたものの、あの宣戦布告は主に沢芽市を攻撃できる軍事力を持つ国々の政府に対して発せられたものと推測される。
この推測が正しければ、事前収録に使う言語はぐっと少なくて済む。G20構成国の公用語に限れば(生放送で使った日本語を除く)、アラビア語、イタリア語、インドネシア語、スペイン語、ドイツ語、トルコ語、ヒンディー語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語、英語、朝鮮語(韓国語)、中国語の13言語でよい。これくらいならレデュエも退屈せずに収録ができると思う。
ちなみに、筆者の翻訳による宣戦布告の英語版。